- 1.ハングル概略
韓国語を表記するときは、ハングル(한글)と呼ばれる文字を使います。この文字は人造文字で、李氏朝鮮時代の第四代国王世宗(세종:在位1418-1450)の命令により、1443年に「集賢殿」という研究機関の学者たちが作ったものです。
その後、1446年10月9日に「訓民正音」(훈민정음)と名づけられ、国民に公布されました。 訓民正音が作られた当初は全部で28文字ありましたが、 その後韓国語の音が変化したことによって4文字が使用されなくなり、現在は24文字が使われています。「ハングル(한글)」という名称は作成当初から使われていたわけではなく、近代に入って朝鮮語学者周時経(주시경:1876-1914)が命名したとされています。 「한글」とは、「한(ハン=大きい)+글(グル=文字)」で、「大いなる文字」という意味といわれています。
ハングルという名称は主に大韓民国(韓国)で使用されている名称です。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では、「조선글자(朝鮮文字)」などと呼ばれています。 この講座では韓国で標準的に使用される言葉を扱いますので、한글という名称を使用します。- 2.文字の構成
日本語のひらがな・カタカナは、1つの文字で1つの音のかたまりを表します(音節文字)が、 ハングルは、ローマ字のように子音文字と母音文字に分かれている(音素文字)ので、 一つの文字を書いただけでは意味をなしません。ハングルをきちんと書くためには、 いくつかの文字を「組み合わせて」書くということをしないといけません(これがまたハングルの大きな特長でもあります)。
たとえば、「바다」(=海)は、「ㅂ」+「ㅏ」でひとかたまり、「ㄷ」+「ㅏ」で ひとかたまりになっています。
「ㅂ」は[b]( /p/ )、「ㅏ」は[a]( /a/ )を表していて、組み合わせて「바」[ba]( /pa/ )と発音します。
同様に「ㄷ」は[d]( /t/ )、「ㅏ」は[a]( /a/ )を表していて、組み合わせて「다」[da]( /ta/ )と発音します。
つまり、「ㅂ」や「ㄷ」が子音を表し、「ㅏ」が母音を表しています。(ㅂ+ㅏ)+(ㄷ+ㅏ)
=바+다
=바다
このように한글は、1文字が1音を表すという意味で「音素文字」の仲間にはいりますが、その一方で「(ㅂ+ㅏ)=바」のように文字を組み合わせて、 日本語のかな文字と同じように「ひとかたまり(音節単位)でどう発音するか」まで表すことができる点がローマ字などとは大きく違う点です。 (例えばローマ字で"bada"と書いてあっても、"ba"+"da"なのか、"bad"+"a"なのか区別できません。)
以下に例をいくつか挙げます:
実際の書き方については「文字・発音編」で詳しく行います。